沙耶は夜更けに目を覚ました。
隣ではまだ祖母が寝息を立てている。
(夢だったのか…………)
彼女はぎゅうっと布団の中で縮こまった。
高校生になって沙耶は祖母の家から学校に通うことにした。
特に深い事情はない。
ただ祖母の家の方が都心に近く、新しい学校に通うには時間も労力もかからなかった。
ぎりぎりまで寝ていられるし、満員電車でもないから痴漢にもあわない。
親元を離れると言うことに魅力を感じたし、祖母のことも嫌いではなかったため、特に問題はなかった。
たった一つをのぞいて。
いくら二十三区とはいえ、祖母の住んでいるところはまだ田舎っぽさが残っている。
周りを見渡せば畑もあるし(祖母も農業を営んでいる)まだまだ古い家もたくさんある。
祖母の家は八割が畳で、冬になれば掘り炬燵が出てくる。
二階はない。
埃まみれの天井裏は今は怖くて入りたくないと思う。
仏壇があれば神棚もある。
明るいときはそうでもないのに、夜になるといっぺんにお化け屋敷のようーそれ以上かもしれないーになる。
つまり怖いのだ。
お化けが出そうで。
後ろから急に誰かに肩をつかまれそうで。
特に今みたいに、ホラー漫画を読んでしまった後は。
読むんじゃなかった、と思う。
後悔先立たずとはこのことだ。
家中の電気を全て消して祖母との共同に寝室に向かう。
布団ならもう敷いてあるだろう。
びくびくしながら寝室の前の廊下の最後の明かりを消した。
かたん…
かりかりかり
ばたっ!!!
ひた、ひた、ひた
耳元に女のしめった長い黒髪がかかる。
ぬめっとした感触の手が肩に置かれた。
息がかかる。
ぼそぼそと呟くように、
「 」
!!!!!!!!!!
まだどきどきする心臓の音を聞きながら時計を見ると日付が変わって26時になったばかりだった。
まだまだ眠る時間はある。
とりあえずもうホラーは止めよう。